絵本・スウェーデンのすべり台


この絵本「スウェーデンのすべり台」は、昔々見た夢をもととしている。
長女が小学校高学年になったころ、絵をかいてもらった。
昔々のことだ。(2013)

最近彩色版の原稿発見、白黒版を差し替える。(2017.3.)
新しく文章を追加した。(2019.12.)


「絵本・スウェーデンのすべり台」
 少年は近所にある公園のすべり台にのぼりました。今はすべり台のてっぺんにいます。


少年は高いなあと思いました。
ついつい「高いぞ」と思ったままのことを言ってしまいました。


気持ちが高まってきました。手を挙げて「高いなあ」といいました。
いい気持ちです。晴れ晴れした気持ちです。


いつのまにか、小高い丘の上にいるような気分になりました。
よく見ると海が見えます。船も浮かんでいます。町が見えます。汽車もはしっています。
少年は「もしかすると「スウェーデン」にいるのかな」と思いました。
ただなんとなくそう思っただけです。
スウェーデンは、サンタクロースの住んでいる国に近くて、
公園には遊び道具のいっぱいある国だと聞いたことがありました。


長い長いすべり台です。すべるのは面白そうだと思いました。
「さあ すべるぞ すべるぞ」
そういうと少年はすべりはじめました。


はじめはゆっくり、やがて速さがまし、気持ちよくすべってゆきます。
スピードが増してきます。
「わあい!!」
少年は叫びました。
ヨットが見えます。
建物も見えます。


建物が家々がどんどん近くなってきます。
「わあい!!」


「おや?」
少年は何かに気づきました。
なんでしょうか。


窓が見えてきました。
窓辺には少女がいます。少年と同じとしごろの女の子です。
しずかなやさしそうな女の子です。すこしさびしそうにも思えました。


少年はすべりながら、笑いかけるように「やあ」と声をかけました。
「やあ」と自然に口からでてきました。気持ちよくでてきました。


少女は笑顔になりました。
少年は「あ、わらっている」とうれしくなりました。
少女は笑っています。笑っているのです。


笑いながら女の子は手をふって「さようなら」と言いました。
少年も「さようなら」と手をふって答えました。


「ドスン!!」
少年は砂場にしりもちをつくように、音を立てて砂場につきました。


見上げると女の子がいます。
女の子は、笑っています。


少女の家は、少年がすべり終えた公園のそばにあるのです。
すべり台は近所の公園にあったのです。

少女は笑っています。少年もはずかしそうに笑っています。


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